20万円のスキャナーを買って思うこと

最近、事務所で20万超のスキャナーを購入しました。正確には27万円くらい(保守料金込み)でした。なかなか高い買い物でした。領収書をスキャンして自動で仕訳入力したり、医療費の領収書をスキャンして医療費控除を自動で計算したりするために購入しました。ちなみに通常の領収書のスキャンについては、まだまだ手入力の方が早いです。というか目視でチェックが必要な精度です。インボイスの情報を自動で取り込んでくれる点についてだけは少し良いと思います。でも、5年後10年後にはさすがにスキャナ取込みの方が時間短縮になっていると思っています。

20万超なので高い買い物でしたが、購入するときに考えたのが、人を雇うかスキャナーを買うかという視点でした。どっちの方が得か、どっちの方が楽か。アルバイトを時給2,000円で雇って入力してもらうか、今の社員が高性能スキャナーで時間短縮して入力するか。(結局はそこまで時間短縮になっていないわけですが。)これはファミリーレストランなどでロボットに料理を運んでもらうのとまったく同じ流れだと思います。人を雇うのは責任も生まれるしお金もかかるし、そもそも雇いたくても雇えないし、工程を見直して人を雇わずに済むようになるならそちらの方が楽で良い、という流れです。

色々なニュースでロボットやAIに職を奪われるという話を聞きますが、少なくても小規模の税理士事務所の職員は現実に職を奪われていると思います。昔は職員3~4人必要だった規模の事務所が今は職員1~2人で十分というような変化は起こっていると思います。私が新入社員だったころ(20年くらい前)は資料をもらってくるだけの顧問先が普通にありましたけど、今はメール添付か郵送で十分という時代になりました。そういう顧問先は新人の担当先としてちょうど良かったのだろうと思いますけど。今はもしそんな顧問先があったら業務のやり方を改善すべきと思ってしまいますし、新人にちょっと担当してもらうような顧問先ってなくなってきていると思います。

私が税理士を目指して勉強していたころ、周りから将来は開業して職員さんを3~4人くらい雇ってがんばって、というふうに言われていたのですよね。私もその気になって、自分が独立開業したら超ホワイトな税理士事務所にしてこの搾取だらけの業界を変えてやろうと思っていました。それが今もう独立して6年経っていますけど、職員1人だけの事務所です。その職員1人(税理士の勉強はしていないです)も、フルタイムで雇ってはいますけどフルタイムでやってもらうほどの仕事量は無い状態です。ちょっとしたおつかいのような仕事がなくなって、専門的な知識が必要な仕事ばかりが残る状態になってしまいました。高性能のスキャナーを買ったりして入力作業が短縮されたりしたら、今よりもさらに、決算書を作成したり何かの提案をしたり相談の対応をしたりなどの専門的な知識が必要な仕事しか残らなくなってしまいそうです。そうなると、人を雇いたくても雇いづらくなってしまいます。税理士の資格を持っている人や勉強している人だけ限定で採用するべきなのかとか思ってしまうようになってしまいそうです。それは私の思い描いていた搾取無しのホワイトな労働環境の税理士事務所から遠のいていくような気がしています。人を選んで採用していったら単なる専門家集団みたいな状態になってしまう。そういう社会にしたいわけではないのですよね私は。

でも、税理士事務所という業種が専門家集団へと近づいていってるのかもしれないですね。昔は専門家である税理士と事務の職員さんたちという構造だったのが今は税理士も職員も専門家、みたいな。うちの事務所もそういう方向を目指していくべきなのかしれません。現状は複数の専門家で対応しないときつそうな大きな案件は外部の税理士先生がたとチームを組んで対応していますけど、そのうち税理士法人とか作るべきなのかもしれないですね。時代的に言って。

全然関係ないですけど27万くらいのスキャナーって、本体価格は17万くらいで、残りは保守料と初期設定料です。ICSという税理士事務所向けのソフトメーカーから購入したのですけど、最初は5年保守でもっと高かったのですが「本体より保守料金の方が高いってどういうことですか笑」と言ったら「保守は無しにしますか」とあっさり言われて、そうしたらICSの儲けがなくなってしまって申し訳ないので3年保守だけ付けますよーと言ったら初期設定料が3万最初からのっかっていて、これなら保守無しでもICSに利益あったな…と思った次第です。というか初期設定も別に自分でできそうでしたが。まぁでも感謝の+10万ということで。稼いだお金は周りに還元していきましょう。自分でできそうなことでも人にお金を払ってやってもらって、その分自分は自分の仕事をのんびりやっていくって、大事ですよね。

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